急性白血病
小児急性白血病は、急性リンパ性白血病が80%を占め、残りが急性骨髄性白血病です。
血液のがんですが、どうして発症するかについては不明です。
しかし、一部のものは胎生期(母さんのお腹の中にいる時)に、放射線、紫外線、母体の喫煙、薬剤暴露、ウイルス疾患が発症に関与していると考えられています。
20年前は不治の病でしたが、その後の医療の進歩により治療成績は著明に改善しています。急性リンパ性白血病の標準リスク群では、80%の患者さんが治癒します。急性白血病は、本邦では年間で約600例が診断されます。治療は全国規模で統一された治療内容(プロトコール)を臨床研究スタディという形で行われます。
すなわち、診断が同じであれば、北海道のA病院、福岡のB大学病院で行われる治療も近大病院で行われる治療と同じです。
治療は複数の抗がん剤をプロトコールに従って投与します。副作用を伴いますので、注意深く経過を観察する必要があります。特に、小児では治療に伴う後遺症の予防が重要です。後遺症には成長発育障害、内分泌障害や二次がんなどが問題となります。
入院期間は、約1年近くかかります。急性リンパ性白血病では、その後も維持療法という外来治療が約1-2年必要になります。
近大病院では、院内に羽曳野支援学校があり、小学生から中学生まで治療を受けながら、ベットサイドで学習を継続することができます。
また、府立高校生の場合も、週3回の訪問教育を受けることができます。
近大病院では、経験豊かな看護師、チャイルド・ライフスペシャリスト、病棟保育士、医療ソーシャルワーカーによるトータルケアにより、患児のみならず、そのご家族に対してもきめ細やかなケアを行っております。
■造血幹細胞移植(骨髄移植、臍帯血移植、末梢血幹細胞移植)・CAR-T細胞療法
造血幹細胞移植は、再発・難治の白血病や再生不良性貧血などに行われます。
近大病院は、骨髄および臍帯血バンクの移植認定施設です。豊富な治療経験をもつ2名の造血細胞移植認定医が担当いたします。
治療実績は、ホームページの研究グループの診療・研究を参照してください。
当院の特徴としては、体に優しい骨髄非破壊的移植法を中心に行っております。
従来の移植後の晩期障害である成長発育障害や無月経などの内分泌障害も認められず、移植後に健康な赤ちゃんを出産された症例も経験しています。
また、2024年からは再発・難治の急性リンパ性白血病(B前駆細胞性)に対するCAR-T細胞療法(キムリア®)も施行することができます。