患者さんとそのご家族へ

病気の話

先天性心疾患の出生前診断

 

生まれながらに心臓に病気のある状態です。先天性心疾患は100人に1人の割合で生まれてきます。けっしてめずらしい病気ではありません。

先天性心疾患のほとんどが心雑音やチアノーゼ(顔色が悪い)で見つかり紹介されます。
しかし、手術が必要なほどの重症な心疾患は1000人に4人程度です。このように先天性心疾患の半数以上は手術を必要としない方です。

一方、手術を必要とする重症な心疾患は生まれてすぐに重篤な症状を発症します。
このため、生まれる前に診断することはとても大切なことになります。
現在、心疾患の6割が生まれる前に胎児心臓超音波検査で発見されています。心疾患によっては生まれる前に発見できた方が治療成績は良くなっています。

しかし、先天性心疾患の出生前診断は難しく専門的な技術を必要とします。
当科では稲村が出生前診断を担当しております。これまで約4,000例の胎児診断を行い、30,000件の遠隔診断を経験しております。
当科では地域医療機関とネットワーク回線を結び遠隔診断を行うことで地域医療連携に力を入れております。
また、生まれる前に診断することが困難な心疾患(完全大血管転位、総肺静脈還流異常、大動脈縮窄)を見つけるための研究と診療も行っております。

先天性心疾患の治療

胎児診断のついた先天性心疾患はもちろんですが、出生後に判明した先天性心疾患も24時間体制で受け入れております。

入院した新生児はNICUで厳重に管理し、心臓血管外科と協力し、適切な時期に手術を行っています。
手術死亡はなく、良好な手術成績です。入院中、繰り返し説明をし、患者様家族に心をよせる医療を目標にスタッフ一同努力しております。
退院後もささいな風症状から日常生活に至るすべての問題点についてトータルにケアできる体制を組んでおります。


近畿大学医学部 小児科学教室

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