ご挨拶

杉本 圭相

主任教授

杉本 圭相


私のパーパスでもあり、近畿大学医学部小児科学教室としてのパーパスは「こどもたちを心身ともに健全、あるいはそれに近い状態で成人に送り出すこと」です。

少子化がさらに加速する今、日本社会は極めて危機的状況にあります。
様々な病気だけでなく、児童虐待やいじめ、不登校等こどもを取り巻く状況は深刻です。2022年6月にこども基本法が設立、こども家庭庁が設置されました。
こども家庭庁のトップページには、こどもが真ん中の社会を実現するために、こどもの視点に立って意見を聴き、こどもにとって一番の利益を考え、こどもと家庭の、福祉や健康の向上を支援し、こどもの権利を守るためのこども政策に強力なリーダーシップをもって取り組みます、とあります。

私たち小児科医は、今まで以上に、こどもたちや家族に何が必要か、時に不必要なのかを常に考え続け、様々な困難に直面する彼らを支援していく必要があります。
こうした社会において、ネガティブな考えや不安が常に存在する一方で、それ以上に希望があることは忘れてはならないと思います。
例えば、子どもが泣いている、かんしゃくを起こしている、そんな一場面においても、その先には希望があると感じています。
今は寂しい、悲しいけれど、次に会った時は笑顔で前を向いている姿を見ると、こどもや家族の成長を感じることができます。
さらに、些細であっても、何らかのかたちで自分がそこに関われたのであれば、とても嬉しい気持ちになります。

こどもたちは常に何かを発信しています。
私たち小児科医はアンテナを張り、こどもたちが発信する信号をキャッチしていく必要があります。
そのために、私たちが行っていることは、患者さん中心の診療はもとより、患者さんにご協力をいただきながら学生や研修医への教育、臨床研究を通じたエビデンスレベルの高い診療、診療スキル向上を目指していることです。

近畿大学医学部小児科学教室は、奈良県生駒市の近畿大学奈良病院、大阪南医療センター、市立貝塚病院、堺咲花病院、富田林病院などと密に連携し、それぞれの特徴を生かした医療環境を展開しています。
これらの医療機関では、循環器専門医、腎臓専門医、アレルギー専門医が各分野における専門外来を行い、専門医のいない医療機関においても、特殊な疾患をもつお子さまの継続的な診療に努めています。
また、小児科専門プログラム研修病院として、上記に加え、耳原総合病院、岸和田徳洲会病院、和歌山県串本町のくしもと町立病院があり、多角的な視点から臨床教育をサポートしています。

私たちの医療は患者さんから成り立っています。患者さんは私たちの変え難い教育者でもあります。
小児科診療では、患者さんの年齢層が幅広いことだけではなく、対応する症状や疾患が非常に幅広い分野にわたりますが、これこそが小児科診療の醍醐味であり、日々の診療や研究を行う上での糧となります。

こどもたちの数は確かに減っていますが、社会がその子どもたちをマイノリティ(少数派)にしていい理由はどこにもありません。
そして、その子どもたちを支える小児科医も同じくマイノリティでもありません。
私たちには大切な子どもたちを守るという非常に重要な使命があります。

そんな想いから、これからも子どもたちから学び、その成果を子どもたちや社会にきちんと返していきたいと思います。

教室理念


教室理念

1.難治性ネフローゼ症候群や慢性腎疾患への豊富な経験と診療体制。
2.血液・腫瘍疾患などの難治例への移植を含めた幅広い治療体制。
3.先天性心疾患の早期発見と早期介入、成人期を見据えた長期フォローアップ。
4.子どもたちの QOL をあげる充実したアレルギー診療。
5.合併症を抱えた母体と出生後のハイリスク新生児へのケア。

小児科診療は、患者さんの年齢層だけではなく、対応する症状や疾患が非常に幅広いといった特徴があります。
時に敬遠されるこの特徴がまさに小児科診療の醍醐味であり、日々の診療を充実させ、研究を後押ししています。
子どもたちから学び、その成果を子どもたちにきちんと返すこと。それが私たちの願いです。

近畿大学病院は大阪南部に位置する唯一の大学病院であり、特定機能病院として高度な医療を提供する一方で、重症度や特殊な疾患に偏ることのない医療の提供にも心がけています。
早産児から思春期のお子さままで対応できるよう、チャイルドライフスペシャリストや保育士が常勤した診療体制を整備しており、患者さんの期待に沿えるよう日々努力しています。

近畿大学奈良病院、大阪南医療センター、市立貝塚病院、大阪府済生会富田林病院、市立藤井寺市民病院、堺咲花病院、くしもと町立病院(和歌山県)など多くの連携施設で、それぞれの特徴を生かした医療環境を展開しています。
また、それらの医療機関において、循環器専門医、腎臓専門医、アレルギー専門医が各分野における専門外来を行い、専門医のいない医療機関においても、特殊な疾患をもつお子さまの継続的な診療に努めています。
大学病院だけでなく、上記施設での臨床教育にも力を入れています。

私たちの教室理念を示します。

1.子どもたちの大きな未来を育む診療を意識すること。
2.教室のすべての医局員がそれぞれの個性を生かす、働きがいのある教室であること。
3.南大阪の基幹病院として、地域医療に貢献すること。
4.教育機関であることに常に誇りをもち行動する教室であること。
5.教室での得られた診療・研究結果を社会に還元すること。

同じ志をもたれる先生が一人でも多く、仲間入りしていただけることを心よりお待ちしてします。


近畿大学医学部 小児科学教室

〒589-8511 大阪府大阪狭山市大野東377-2

TEL 072-366-0221

内線 3535