研究室の紹介

各診療部門の案内

心身医学部門

Division of Psychosomatic Pediatricse

■基本情報

 

私たちのモットーは病気だけを診るのではなく、全人的に子どもを理解し、子どもと家庭の支えになれるような医療を提供することです。
そのため、医学的な視点のみならず、心理・社会的な視点からの理解と支援を重要視しております。

また、子ども自らが問題を解決したいという意思を持って来院されるケースだけでなく、ご家族の意思で連れて来られたというお子さんも多くいらっしゃいます。
しかし、心身症・不安障害・不登校・拒食症などにおいては、本人の意思がなければ解決できないことが多いため、子ども自身のニーズを十分把握し、子ども主体の医療を心掛けております。

■当科で対応している疾患

 

1. 心身症

起立性調節障害、過敏性腸症候群、機能性ディスペプシア、心因性疼痛、不登校など

 

2. 精神疾患

うつ病、双極性障害、不安症群、器質的精神病、適応障害、身体症状症、変換症、不眠症、神経性やせ症、回避・制限性食物摂取症など

 

3. 頭痛

片頭痛、緊張型頭痛、心因性頭痛、周期性嘔吐症候群、二次性頭痛など

 

4. てんかん

症候性/潜因性局在関連性てんかん、ローランドてんかん、パナイトポーラス症候群、小児/若年欠神てんかん、若年ミオクロニーてんかん、覚醒時大発作てんかん、ウエスト症候群、レノックス・ガストー症候群など

 

5. 発達障害

知的障害、言語症、自閉スペクトラム症、注意欠如多動症、チック症など

■代表的な疾患の診療の流れ

(この通りに行かないケースもあります)

 

1. 起立性調節障害(特に不登校を伴う場合)

問診

症状(身体・精神)・社会的機能(登校・勉強・友達関係など)

性格・発達・養育歴・既往歴・家族歴

ストレス因子(学校・家庭など)

検査

身体診察  心電図  胸部レントゲン

新起立試験  血液検査

(その他、必要に応じて頭部MRIなど)

診断

疾病教育・親ガイダンス

病気の特徴  病気と付き合うこと  生活上の注意事項

親にできること  治療法(医学的・心理的・社会的)

※ 無理なく、最大限に明るく充実した生活を目指すには、病気との向き合い方についての本人とご家族の正しい理解が不可欠です。症状を消すこと、学校に行くことばかりにとらわれていると、治療は上手くいきません。

カウンセリング

子どもの気持ちを傾聴・受容し、何をしたいか、何ができるか、ストレス軽減策、社会復帰、進路のことなど、本人の意思とニーズを最優先して相談させていただきます。
時間的制約があるため、基本的には親子合同面接とさせていただきます(家族関係に大きな問題がある場合は並行面接とさせていたく場合もあります)。

その他

ご希望に応じ、  薬の治療  自律訓練法の指導 

などを実施させていただいております。

 

2. 発達障害

問診

症状(言語・社会性・落ち着き・運動など)

社会的機能(登校・勉強・友達関係など)

養育歴・既往歴・家族歴

ストレス因子(学校・家庭など)

観察

外観・行動・情動・発語・言語理解など

検査

発達検査・知能検査 (その他、必要に応じて聴覚検査・血液検査・頭部MRIなど)

診断

疾病教育・親ガイダンス・環境調整

病気の特徴  応用行動分析による指導法

学習環境の調整  福祉施設の利用

薬の治療

不注意・多動  暴力・破壊・自傷 

不眠  強迫的なこだわり 

などの症状には、薬が有効な場合があります。

 

3. てんかん

問診・診察

検査

脳波検査 頭部MRI 血液検査

など

診断

治療

てんかん発作を予防する薬を使用します。まれに手術やケトン食療法などが必要となる場合もあります。

■入院治療

 

1. うつ病・うつ状態

うつ病・うつ状態の治療では、ストレスの軽減、休養が特に重要です。
しかし、自宅では十分な休養を取ることが難しいことも少なくなく、入院による環境調整が奏功するケースもしばしば見られます。

 

2. 生活リズムの是正、院内学級による学校への橋渡し

ひきこもり段階から社会との再開段階に移りつつあるにもかかわらず、昼夜逆転などで上手く復帰を果たせない場合に、一時的に入院して、生活リズムを是正し、院内学級によって地域校へ橋渡しをするといった取り組みもしております。
ただし、本人の目標やモチベーションが不可欠なため、適応には吟味が必要です。

 

3. てんかん重積状態

けいれんや意識障害が治まらない場合には、十分な治療とモニタリングが必要となるため、入院を要する場合が多いです。

■診療実績(2019年4月1日~2020年3月31日)

心身症 354名
精神疾患 178名
頭痛 421名
てんかん 224名
発達障害(重症心身障害を含む) 292名

近畿大学医学部 小児科学教室

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